フクロウニの殻標本
フクロウニの殻標本にはこれまで挑戦していなかったんですが、
ホームページを作ったのを切っ掛けに、今回チャレンジしてみました。
ネットで標本の作り方を解説してるページはほとんど無いので、
「私も挑戦したい!」と思ってる人への手助けになればと記事にしてみます。
しかし私も初挑戦です、今までの経験から・・・
「こうすれば多分上手くいくだろう…」と予想しての作業です。
で、下のイイジマフクロウニを殻標本に・・・
まずはすっかり乾燥してペチャンコになってるウニを、
半日ほど水に浸して柔らかく・・・
触ってみてある程度柔らかくなったら・・・
ウニを半分水に浸けながら、筆に次亜塩素酸ナトリウムをつけ、
頂上系に薬品がかからないよう注意しながらランタンの周囲だけを溶かす・・・
一般的な漂白剤の塩素濃度は6%ですが、業務用の次亜塩素酸ナトリウムは12%。
短時間に強力に溶かしたい時には濃度が濃いヤツが活躍します。
筆はナイロン製じゃないと溶けるので注意。
で、ランタンが外れました。
この先の工程で口の周囲から崩れだすのを防ぐため、
水気を切って瞬間接着剤で口の周囲を5㎜幅ぐらいでグルッと一周補強しときます。
口から流水を入れ、殻の奥を洗うように中身を洗い出す。
取れそうなものはピンセットなどでできるだけ除去。
頂上系は脆いので、内側から水圧がかからないように注意しつつ・・・
ある程度綺麗になってきたらサッと内側を漂白し、綺麗な水で洗浄。
今度はフクロウニを膨らませます。
ここで秘密兵器!
リンゴ等を保護するためによく被せてある発泡素材のこれ!
スポンジなどの水分を吸ってしまう素材では重くなったり、水を切るのが大変ですが、
この発泡素材はちょうどいい感じです。
細く切ったこのクッション材を適当な長さにちぎりながら口から詰めていきます。
殻へのダメージを最小限にするため、水につけたり出したりしながら・・・
膨れるにつれ、ペチャンコになったときに殻が折れて潰れ、
骨折したようになっていた箇所から亀裂が入ってきました。
一旦水気をきり、破損しそうな部分を接着剤で部分的に補強。
適度に膨らんだら・・・
頂上系を綺麗に残さないと標本として台無しになるので、
そこを避けつつ裏側から軽く漂白し、
薄い和紙を水性ボンドで頂上系の内側から貼り補強しときます。
ボンドは乾かなくても、紙が貼り付いていることで薬品が余分にかかりませんし、
保護しながら作業できます。
次亜塩素酸ナトリウムを筆につけ、優先的に取り除きたい部分から表面を攻めます!
水に浸けたり出したりしながら慎重に・・・
これ以上は危険だなと判断したところで綺麗な水に浸してよく洗う。
水性ボンドを水で薄めた物を全体的にかけ、ティッシュなどで水気をきり乾燥。
ボンドは年月が経っても脆くならないよう、形が崩れないようにするためです。
乾燥したら、詰めたクッション材は適量を残して取り出す。
なんとか完成しましたが・・・
乾燥しきって潰れたウニでは綺麗な殻標本は作れないと納得しました。
状帯の良いウニが手に入ったら再挑戦したいもんです(^^;
溶かすのに使う塩素の濃度ですが・・・
私の経験ではウニの殻標本は、薄めたもので時間をかけてゆっくり作るよりは、
濃い濃度で短時間に完成させる方が綺麗に仕上がると感じています。物にもよりますが(^^;
この辺の濃度の加減は経験しないと分からないもんです。
何度か失敗と成功を繰り返し、コツを掴むしかないかも・・・
☆ 水性ボンドは 一般的な木工用 でも、
和紙は 習字の半紙 ・次亜塩素酸ナトリウムは ハイター などで代用できます。
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